「一応、勉強はしてるって。今日は偶々。」
と言いつつ、慣れた手つきでまったりとしているものだから呆れてしまう。
私だってコーヒーを頼んでのんびりしているから人のことは言えないけども。
「もう引退されるんですか?」
テーブルに肘立ててカップを弄びながらそれ越しに覗き見る。
「いいや?秋までは残るよ。」
本に目を落としたまま彼は言う。
私の質問に片手間で答えるのはいつもの光景。
実はというと、このカフェで彼と過ごすのは初めてではない。
告白して3日後。
フラれて2日。
そんな日に久しく来ていなかったこのカフェで彼と鉢合わせたのが始まり。
何の因果か運命か。
あまり神を信じていない私だって神を呪いたくなった。