包容力があると言えば聞こえは良いが、単におっとりしている人である。


「たくぽん、安土整備っていつ?」


「8月頭。」


私が予定を彼に聞くのはいつものこと


「彩花、おかえり。」


ジュースを買いに行っていた彼女にひらひらと手を振る。


「雨にちょっと濡れちゃったー、やっぱり雨って嫌い………。」


ね、と同意を求められた私は空を仰いだ。

あの日以来、私はカフェに行っていない。

彼も追求して来ないということは彼も行っていないのだろう。