私は駆け寄った彼を見上げた。


「えーと、もう暗いし帰り道も一緒みたいだし僕で良ければ、送るよ。」


どぎまぎとしながらそう言う彼に私は笑う。

なんだかほっとした。

くよくよするなんて私らしくない。


「名前は?」

   キリノエ  マコト
「あ、桐野江 誠。篠木高の2年。」


クスクスと笑いながら聞く。

隣に並んで歩き出した彼は照れの含んだ表情で名乗った。


「私は花野橋高校の2年生。岬 冬音。」


雨の中、黄緑色の傘と黄色の傘が並んで揺れた。