「………驚きました、よね?」


「それはもう………。」


肩を落としてほっとしたように彼は言った。


「さっきのは雨。だから気にするものじゃないです。」


どうしても隠したかった。
泣いたなんて、知られたくないから。

それが例え初対面の人でも。

弱ってるなんて誰も知らないで良いの。


「それじゃあ、失礼します。」


一言だけ言って帰ろうとする。


「ちょっと待って。」