「ちょっと色々あったのだよ。」


「何それ、ちゃんと教える気ないでしょ。」


ふふふ、と笑って私は誤魔化す。

彼女もこうなると何も聞き出せないのが分かっているからか、食事を再開する。

カフェと違って周りが知り合いばかりだからか緊張してしまう。

    ヒガ
「私は比嘉くんでも良いと思うけどなー。」


「励?んー、そうかな?」


励とは良き友人で素を見せ合える仲だ。

そして昨年のクリスマスに私がフッた男でもある。

次の日から何事もなかったようにふざけ合う私たちに彩花は感心を通り越して呆れていた。

まぁ、励のことは彼氏にしても楽しそうだと思うけど。

今思えば自覚こそないがあの時にはもう、先輩が好きだったんだろう。