個人情報の載った紙を私に渡す。
彼はそれだけ言うとすっと元の輪へ戻っていった。
「ありがとうございまーす。」
私もそれだけ言って前へ向き直る。
すると、彩花が驚いた顔をして聞いてきた。
「冬音!フラれたんじゃなかったの?」
「ん?フラれたよ。」
まだ諦めれてないけど。
今までも彼から話しかけてくるのはあまりなくて珍しいことだった。
それも個人情報の確認は女子はまだしていない人がほとんどで、同じ3年の先輩に渡したって良かった。
だけど、私のところへ来た。
ただここ最近のことで話しかけやすかったのかもしれないが、このことが私を堪らなく高揚させた。