『はーいっ』 慌ててスウェットを履き 上着を羽織る。 家では基本、下着姿だからだ。 緩く噛んだチェーンを外し 玄関扉を開くと初夏の風が舞い込んだ。 顔にかかっていた長い前髪が視界から消えた。 『あんたが姫芽…?』 クリアになった視界に映ったのは 背がスラッと高い、私と同じ年頃の青年。 姫芽 … 。 それは、確かに私の名前だ。 『何方……でしょうか』 見ず知らずの男性から いきなり名前を呼ばれたのだ。 勿論、私は不審な目をして 相手を見上げた。 彼は、緩く微笑った。