「もう行かなきゃ。遅刻するし」 山村が立ちあがり先を歩き出すと、後の二人も続けて歩き出した。 その段ボールからは、あの子猫の鳴き声が響き渡る。 まるで『行かないで』と訴えてるみたいだ。 ……湯川? その鳴き声に後ろ髪を引かれたかのように、湯川がそっと振り返った。 子猫をジッと名残惜しそうに見つめてから、また前に向き直し、二人に追いつくように軽い駆け足でいった。