「っ、キャアーー! やっだぁーマジでぇ!? ウソでしょー!? 信じらんなーい!」
兄の彼女発覚に麻衣は興奮状態となり、小刻みに跳ねまくった。
「あのっ、はじめましてぇー。妹の麻衣ですぅー。中二ですぅー」
麻衣は、戸惑う湯川の片手を勝手に握り、ブンブンと上下に振って握手を交わした。まるで、芸能人にでも会ったかのようなテンションだ。
「は、はじめまして……えっと、湯川果奈です。猪瀬と……あ、猪瀬君と同じクラスです」
湯川は、俺をよそ行き用に呼び直して自己紹介をした。
「果奈さんかぁ。よろしくですぅ。あ、私のこと『麻衣ちゃん』って呼んで下さいね!」
「ま、麻衣ちゃんね……うん」
あの湯川が麻衣に圧倒されてる。
さすがの湯川も、いきなり身内に会ってしまって緊張してるのかもしれない。するよな、そりゃあ。
湯川に悪いことした。こんなことなら、近くの公園に行っておけば良かった。


