「というわけで、ごめんねぇ……」 山村は、子猫を段ボールにそうっと戻した。山村の手から離れても、子猫はまだ鳴き声をあげ続けている。 「しょうがないよ。うちらじゃどうしようも出来ないし……ほーらっ。もーう果奈ったらぁ。そんな悲しそうな顔しないでよー。子猫ちゃん可愛いんだからさぁ、すぐに拾ってくれる人が現れるって」 姫野が湯川の頭を撫でながら励ました。 「うん。そうだといいんだけど……」 湯川……。 気づけば、猫を想って心から悲しそうにする湯川から、目が離せなくなっていた。