「しかしホント、大きくなったよねー。こんなに美人さんになっちゃってー」 湯川が褒めると「ニャアーン」と甘えるように鳴いた。 そいつは褒めると、いつもそうやって嬉しそうに鳴く。猫にも乙女心があるもんなんだな。 「あ! ねぇ、猪瀬。このコの名前は?」 ギクッ! 「な……名前?」 「うん! 何て名前?」 ワクワクしながら、俺の答えを待つ湯川。 しまった。まだ打ち明けなきゃいけないことがあったの忘れてた。 ヤバいな。いくらなんでも、これは気持ち悪いかもしれない。 だって、コイツの名前は――