「うわぁ、信じられない! どうして今までずっと黙ってたのぉ!?」
「それは、俺が拾ったなんて言いづらかったからだよ。あんまり話したことがないし、イマドキ女子が苦手であろう俺が、新しい飼い主だなんて知ったら湯川がガッカリするかと思って。だから」
「全然っ。ガッカリなんてしないよー。むしろ猪瀬で良かった。こうして会えたし。それにこの猫ちゃん。様子からして大事に育てられてるのがわかるよ」
「……そっか」
打ち明けたら、今まで黙ってた分の気持ちがすんごく軽くなった。はぁー、ホッとした。
「あっ。ねぇねぇ、抱いてもいい?」
「もちろん。あの時よりだいぶ重いぞ」
「わっ、ホントだー。ズシッとくるね」
湯川に渡すと、赤ちゃんを抱くみたいに両腕でそうっと抱えた。
「わぁ~」と見惚れながら、頭から背中にかけて優しく撫で始めた。するとそいつはすぐにリラックスして、身をすり寄せる。
その湯川の表情は、いじらしくて、いとおしくて。
また胸が熱くなった。


