「ごめん。ちょっとここで待ってて。すぐ戻るから」
「う、うん……」
まさかつき合って二日目で、いきなり誰もいない家にあげるわけにはいかない。
湯川には門の前で待ってもらい、俺は家の中から「ニャアー」と鳴くそいつを抱えて外へ出た。
「えっ!?」
湯川は、抱えているヤツを目にすると、ビックリした様子で目を見開いた。
「コイツ、誰だか……わかるか?」
意味深に訊いてみた。
「誰だかわかるって…………
あ! その毛の色、もしかして……あの、捨てられてた子猫ちゃん!?」
「当たり」
「う……うっそぉーーーーっ!!
拾ったの、猪瀬だったのぉーーーー!?
マジでぇーーーー!?」
やっぱり驚くよな。
「マジで。大きくなっただろ。あの時は一キロもなかったのに、今じゃニキロ越え」
俺が連れてきたのは、あの時の子猫。今は『子』がつけられないぐらい、だいぶ成長したけど。
コロコロとした小さな子猫から、スラリとした容姿端麗な猫に。コイツの特徴でもある、黒に焦げ茶色まじりの毛並みは、フワフワからツヤツヤに。
見た目どおり、こいつはメスだ。


