――文化祭まで、あと八日となった今日。
「猪瀬、ホントにありがとう! おかげでいい作品が出来上がってきたんだ。明日にはやっと完璧に仕上がる予定」
剣道場の出入り口手前で、湯川にお礼を言われた。
あんまり姿を見せると、またみんなに冷やかされるから、剣道場から見えない位置に立った。
「そっか。でもさ、わざわざ部活を抜け出してまで言いに来なくても。教室でも会うんだし」
俺は、笑いながら言った。
表向きではそう言ったけど、本当はわざわざ来てくれたのがすごく嬉しかった。
「だって、この喜びを早く猪瀬に伝えたくて。なんせ、二ヶ月かかったわけだし、もう嬉しくて嬉しくてー」
湯川は、ハッキリと口にして言うし。


