湯川は来る度に、嬉しそうな顔を見せてくる。
俺が『勘違い野郎』になってしまうぐらいに……。
女っ気のなかった俺に、いきなり湯川が現れたもんだから、先輩含めた部員達からは湯川のことを冷やかされる。部の間では、湯川はすっかり『彼女』扱いだった。
湯川のスケッチが終わっても、クラスでも話すようになった。あんなに話したことがなかったのがウソみたいに、俺と湯川は必要以上に話すようになった。
この湯川が、俺と同じ気持ちだったら……いいよな。
俺はガラにもなく、そんなことまで考えるようになっていた。
メニュー