「あ、あのねっ、私、実は美術部なんだ! でね、今度の文化祭で絵を展示することになったの!」 湯川は、俺をまっすぐ見ながら言ってきた。 「へぇ……湯川って、美術部だったんだ」 「うん、そう!」 俺、普通に話せてるよな? でも、顔は緊張してうまく動けてない……しまった。こんなことなら面を取らなきゃ良かった。面を被っていれば、表情も気持ちもごまかせたのに。 まっすぐ俺を見る湯川に、心の中まで見透かされそうで怖い。 俺は、ますます顔からタオルを離せなくなった。