「けど……ごめんね」
湯川、楽しそうな声から、急に寂しそうな声に変わった。
「ダメもとで親にお願いしてみたんだけど、やっぱりダメだったんだ。友達や近所の人にも聞いたけど、飼ってもいいって人……いなかった」
子猫のために、飼い主まで探してたのか。
「だから…………ごめんね…………」
あ……涙が。
湯川は子猫をそうっと抱き上げると、その涙を拭うように顔に擦り寄せた。
だいたいいつも、大胆に感情を出す湯川が、一人静かに泣いている。
その姿が、いじらしくて切なくて、
見てたら胸が、じわり……と熱くなった。


