「もし、私が名前つけるとしたら……うーん……
『クロ』とかじゃあ、ありきたりだなー。
あ、牛乳をよく飲むから『ミルク』とかどう? て、それもありきたりかぁ」
今度は楽しそうに、名前まで考え出した。
おいおい湯川。こんな雨の中で猫に夢中になり過ぎ。いい加減、風邪引くぞ。
って、俺もストーカーみたいに、いつまでも突っ立って湯川のことを見てるから、人のこと言えないか。
あの様子だとしばらくいそうだし、今日のところは帰るか。さりげなく後ろを通り過ぎよう。
「あぁ、そうだぁー!!」
「いっ!」
出しかけた身を、またすぐに隠した。
びっくりした。
急に声のボリュームをあげるなって。しかも一人で。見ていたのがバレたかと思った。
再びそっと覗いてみた。


