狼羽の思考が止まった。
先刻までのようなお祭り騒ぎには慣れていた狼羽だったが、このような、女子がきゃーきゃー集まって興奮気味に騒いでいる光景をみるのは初めてだったのだ。
ふと狼羽は狐蛟の言葉を思い出した。
「学校に行ってるだけのはずなのに…何で毎日毎日女豹どもの檻に放り込まれた気分を味わわなきゃなんねぇんだ…」
毎日のように狐蛟の口から放たれるそれは決して狼羽に向けられた言葉ではなかったが、狐蛟があまりにも深い溜息をつきながら呟くものだから、狼羽はすっかり覚えてしまっていた。
そして今日、
女豹ってこのことか…。と、やっと理解した。確かに、彼女たちの眼は獲物を捕まえようとする獣のようにギラギラと輝いていた。
本当に人間なのかと疑いたくなる。
あの女の子たちを女豹の群れに放り込んでも、きっと引けを取らないのだろう、と。
