狼の子(仮)

 



種植(たなえ)村。





村人口おおよそ四千人のこの村には昔から異形のモノ「モノノケ」が人間とともに暮らしていると言われている。


モノノケ……いわゆる「妖怪」だったり「妖精」だったり。
種植村で崇められているのはそういう人間ではないものたち。



しかし、村の者皆が彼らの姿が見えているわけではない。
村の中でも見えている者(見鬼)はほんの一部。その中でもより一層力が強く、モノノケたちと人間を繋ぐ役割を果たす者を
「巫女」
と呼ぶ。


巫女の力を持つものは五十年に一人生まれてくると言われている。
それがモノノケたちと共存していくための掟であると。

そして次の巫女を見極めるのは現役の巫女の役目の一つである。