あ、あ、あ愛してる

話しながら、座席に着く。

時刻は刻々と進んだ。

どの学校の合唱もみんな、あたしたちより上手く聞こえた。

11時10分前、舞台裏に控えたあたしたち。

和音くんは息咳切って、舞台裏に走りこんできた。

息を整える和音くんの背を擦る。

上は制服、下は学校指定のジャージ、思わず「ダサっ」と言いかけ慌てて言葉を飲み込んだ。

和音くんは汗で曇った黒縁眼鏡を外す。

ジャージの後ろポケットからはみ出したハンドタオルを取り出し眼鏡を拭き、髪を上げ顔を拭いた。

ほんの数秒の仕草だったけれど、和音くんの間近にいた数名の部員がざわついた。

和音くんは眼鏡を掛け直し、髪を下ろし緩めていた制服のネクタイを締め、背を伸ばし深呼吸した。