あ、あ、あ愛してる

和音くんは急いでリハーサルに戻ったんだと思う。

ライブのリハーサルを抜け出し、駆けつけてくれた和音くんの優しさに、胸が詰まる。

あたしは愛美が伴奏の心配をしていると思い、愛美の家に電話した。

電話に出た愛美のお母さんは「連絡ありがとう、迷惑を掛けてしまって」と、申しわけなさそうに言った。


「有栖川和音、さすが音楽科首席ね」

部長が胸に手を当て、ため息をつく。


「花音、ダサAliceと仲良いの?」

1年生のソプラノパートの子が訊ねる。


「うん、図書室で数学を教えてもらって……」

あたしは無難な返事をする。


「あの先輩、吃音が酷くてちゃんと喋れないんでしょ? 会話、さっきみたいに筆談なの?」


「筆談だったり、指文字だったり、手話だったり、あたし手話はほとんどわからないんだけどね」


「不便だね。けど、さっきは何かめちゃくちゃカッコ良かった。ダサAliceって呼ぶのが申しわけないくらい」