私は学校の階段をこれでもか、というぐらいの速さで駆け下りた。
正直自分でも、何をしているのかが理解できなかった。
ただ、自分の感覚だけを信じて、廊下を走った。
校門を出て、クラスの窓から見える歩道のところに行った。もうすでに、そこには誰もいなかった。私はさっき見たあの人が行った方向へ、また走り出した。
呼吸が荒い。こんなに必死に走るのはいつぶりだろう。喉が苦しくて、足が千切れそうだ。
だけど、私はスピードを落とそうとしなかった。あの人を今見つけなければ、後悔する。そう思ったからだ。
ようやく、あの抹茶色のパーカーが視界に入った。私はその人を目指して、さらにスピードをあげた。
フードを深くかぶっていたその人は猛スピードで向かってくる私に気づき、その人も走り出した。私の方を時々見ながら、その人もどんどんスピードをあげた。
逃がすかぁ!!
私は必死でその人を追いかけた。
あと十五メートル。
十メートル。
七。
あともう少し。
五。
二。
私は手を延ばした。同時に、その人も私をチラッと見た。
私たちは、見事に衝突し、一緒に固いアスファルトに向かって倒れた。

