「最近、あまり授業さぼらないね。」
昼休みにあかねが言った。
「うん、まあね。」
私は、お母さんに白斗の様子のことを聞いてから、会いに行く回数を急激に減らしていた。もし本当に何かを真剣に考えているのなら、できるだけ邪魔をしたくない。早く解決して、早くいつもの明るい白斗に戻って欲しい。例え、それが私に言えない事でも、私は彼を支えることしかできない。だから、ほぼ毎日だった屋上への訪問は、二週間に一回くらいのペースになった。
正直少し寂しい。いや、少しどころじゃない。二週間がこんなにも長く感じるのは初めてだ。なんとも不思議だ。彼に出会う前は一度も会わなくても普通に生きていたのに、出会った瞬間、彼なしでは何かが物足りなくなる。ある意味一種の中毒だ。
彼にどうしても会いたくなる夜は、押入れからあの時白斗が寝た布団を引き出し、ベッドの横に敷いてそこで寝る。自分でも、こんなことをしている事がどうしようもなく恥ずかしいが、恥よりも寂寞の方がかなり上回る。もちろん、彼の熱は少しも残ってないけど、彼の眠る姿を想像して布団に包まっていると、彼の存在を近く感じることができる気がする。ただそれだけなのに、何か安心感があって、心地良い。
だけど、こうやって布団で寝る夜の翌朝は、決まって真っ赤に腫れた目で起きる。
布団を時々取り出していることにお母さんは気づいているみたいだけど、彼女は何も言わない。それが、すごくありがたい。
こういう風に、一日一日を凌いで一ヶ月半ぐらい経ったある日、それは起こった。

