そこにはいつも君がいた



リビングの外からピーピー、という音が聞こえた。

愛子のお母さんが顔を上げた。「あ、沸いたみたい。白斗くん、入ってきていいよ。」

僕は立ち上がって、「はい、ありがとうございます。」と言った。

「シャンプーとかリンスとか、好きに使ってね。バスタオルはお風呂場の外に置いてあるから。」

「わかりました。」僕はさっき愛子のお母さんが入っていった部屋に入り、ドアを閉めた。




僕はホカホカなパジャマ姿でリビングに戻った。

「白斗くん、お湯はどうだった?」

「おかげさまでとても気持ち良かったです。ありがとうございます。」

愛子のお母さんは笑った。「またお風呂が壊れたら、いつでも来てね。」

「はい、分かりました。」僕は笑顔で答えた。


「じゃあ愛子、次入ってきなさい。」

ソファに座ってテレビを見ていた愛子が返事をした。「はーい。」彼女は立ち上がって、着替えと一緒にお風呂へと向かった。

僕はしばらく愛子がつけたままのテレビを眺めていた。僕はもうテレビを半年も見ていなかった。久しぶりに見るお笑いは、僕の知らないものばかりだ。ある人が腰に手を置いて、大声で聞き取れない何かを叫ぶと、周りの人たちは大笑いをした。今はこういうのが流行っているのだろうか。

テレビに熱中していると、愛子のお母さんが僕を呼んだ。

「白斗くん、お家の人は大丈夫なの?」

僕は顔を上げて、答えた。「はい、一人暮らしなので。」これは一応嘘ではない。顔を上げたついでに僕は時計を見た。もう七時を回っていた。

僕は立ち上がった。「うわっ!すいません、用事も済んだのに人の家でぼーっとしてて・・・。」僕は帰る準備を始めた。

「え?白斗くん帰っちゃうの?」愛子のお母さんは僕に聞いた。

「はい、これ以上迷惑をかけるわけにもいきませんし・・・。」

「そんな、ご飯食べて行ってよ。」

「でも・・・。」

「良いから!食べてって!」彼女は言った。「今日は豪華なんだから!」

愛子のお母さんは、強引に僕を説得して、僕は食事も食べていくことになった。