「白斗!」
その時、僕は家計簿を見ている主婦みたいな悩み事をしながら、空を眺めていた。愛子の声がして、僕は振り返った。
「愛子。夏休み以来だね。」彼女が僕に会いにくるのは、授業が始まってから初めてだった。こんなに会わないのは久しぶりだったから、少し心配していた(こんなにって言っても、五日ぐらいだけど)。「何かあったの?」
彼女は僕の隣に座り込んだ。「何かあったのは私じゃなくて、白斗でしょ。」
「え?どういう意味?」ばれたのではないかと、ドキッとした。
でも、彼女は答えてくれなかった。僕の発言を無視して、彼女は手にしていたおにぎりを僕に渡した。まだ温かかった。「はい。家庭科の授業で炊き込みご飯作って、余ったから持ってきたの。」
「あ、ありがと。」僕は急なお土産戸惑いながも、おにぎりを受け取った。僕はおにぎりをあっという間に完食させた。その日のお昼もろくに食べていなかったからだ。急いでおにぎりを頬張る僕を、愛子はじっと見つめた。
「・・・白斗、バイトやめたんだって?」
その言葉に僕は動きを止めた。僕は彼女をゆっくりと見て、「・・・何で知ってるの?」と、つぶやいた。
彼女は目を逸らそうとしなかった。「『キャッツ』の店長が教えてくれた。あの時から白斗、元気無かったし。」あの時とは、おそらくパンパンに腫れた目で起きた日のことだ。それで僕を気遣って、距離を置いていたのだろうか。
僕は愛子の鋭い感に笑うしかなかった。「さすが、愛子だね。」前からそうだけど、愛子からは何も隠せない気がする。僕が丸見えなだけかもしれないけど。
「だから飢えてるんじゃないかと思って、おにぎりを持ってきたわけ。」
僕は微笑んだ。「うん、その通りだよ。ありがと。」
しかし、彼女はそれ以上聞こうとはしなかった。僕からすべて言うのを待ってくれているのだろう。ただ、黙って僕に寄り添ってくれる。彼女には感謝しかない。
いつか、僕がすべて理解することができたら、彼女に何もかも説明する。僕は心の中でそう誓った。

