ゆっくりと目が覚めた。
僕はいつもの物置きの寝袋の上に仰向けになっていた。
僕は起き上がって、辺りを見回した。瞼が重い。体も、まるで重力が増したかのように、だるく感じる。
目覚まし時計は九時を指していた。前の日にセットし忘れたのだろうか。そんなこと、ここに来てから初めてだった。僕は早起きを原則としていて、何があっても七時にはいつも起きるようにしてからだ。
昨日の出来事を思い出そうとした。
確か、バイトの後にまたお母さんと会って、なぜか涙が出てきて、その後ここに帰ってきて・・・・。
その後が思い出せない。多分、そのまま寝てしまったのだろう。
そういえば、なんであの時、僕は泣いてしまったのだろうか。お母さんが僕のことを無視したことに傷ついたのだろうか。でも、僕の両親が僕に関して無関心だったこと、家出しても捜索願いを出さないような人たちだってことはとっくに知っていたはずなのに。
自分の心を理解できないことからの悔しさと、言葉にできない怒りが込み上がってくる。
その時、物置きの扉がガチャっと開いた。一瞬焦ったが、そこからひょこっと出てきた顔が愛子のだったのを見て、安心してため息をついた。
「よっ。」愛子は言った。彼女は僕の顔を見た瞬間、小さな悲鳴をあげた。「どうしたの、その顔?」
僕はいつも通り笑ってみた。「ひどいなぁ、愛子。俺の寝起きの顔、そんなに悪い?」
「いや、そうじゃなくて。」彼女は鞄からピンクの手鏡を出して、僕に渡した。僕は自分の顔を見た。
僕の目は、見事に真っ赤に腫れ上がっていた。なるほど、だから瞼が重く感じたのか。
「どうしたの?こんな時間まで寝てるのも白斗らしくないし・・・。」彼女は僕の顔を心配そうに覗き込んだ。
本当は、すべて彼女に言いたい。でも言えない。自分でも理解できていないのだから、言いようがないのだ。
「・・・俺、結構泣き虫なのかも。」僕は薄く微笑みながら言った。彼女の目は、ますます悲しくなったように見えた。

