そこにはいつも君がいた



彼女と目が合った。僕が覚えていた通りの、氷みたいに冷たい目つきだ。

しかし、それは一瞬の出来事だった。母はすぐにまた前を向き、何も無かったかのように、進んでいた道を再び歩き始めた。そして、彼女が振り向くことは、なかった。

足の力が抜け、僕は店の壁にもたれながらしゃがみ込んだ。



確実に僕と彼女の目は合った。一瞬だったが、確かにあの鋭い目つきは僕の目を見た。そして、多少は髪が伸びていても、僕が誰なのかくらい分かっていたはず
。なのに、彼女は表情一つ変えないで、僕の方を一回も振り返りはしなかった。

これでいいんだ。これが、僕の望んでいたこと。それに、お父さんとお母さんが僕のことをどう思っているかなんて、とっくに知っていた。



そのはずなのに。






なのに。







なんで涙が止まらないんだろう。