「白斗くん、おはよう。」
バイトに行くと、店長はいつも通り挨拶をしてくれた。
「・・・店長、あの・・・。」僕は切り出した。店長も、異変を感じ取ったのか、僕を見た。「・・・すみません。今週でこのバイト、やめさせてもらいます。」
店長は一瞬、目を大きくしたが、すぐにいつも通りになって、「そっか、今までありがとな。」と言った。
「それはこっちのセリフです。俺、このバイトすごく楽しかったです!」僕は満面の笑みを見せた。『キャッツ』でのバイトは、今までのバイトで一番だったと、心から思った。
バイトが終わって、僕は店の裏口から出て学校へ帰ろうとしたら、向こうから帽子を深く被っている女性が歩いてくるのが見えた。
飛んだ確率だ。まさか二日連続、一番避けたい人に同じ状況で出くわすなんて。
僕は急いで店の裏に隠れようとしたが、遅かった。
気づかれた。母は、僕のことを見た。

