「白斗、髪切らないの?」
彼女は僕の髪を撫でながら言った。
僕は家出をしてから髪を切っていない。髪は肩に触れるか触れないかぐらいまで伸びていた。
「自分でやって失敗したら嫌だし、俺切りに行くお金も無いから。」僕は答えた。「もしかして、愛子切ってくれるの!?」目を輝かせて愛子を見た。
彼女は苦い顔をした。「あ、ごめん・・・私そういうセンス全く無いんだ。」
彼女の答えに僕は笑った。「冗談だよ。大丈夫、いつか切るから。」いつかっていつだよ、と呟くのが聞こえたが、彼女は僕の髪を柔らかく撫で続けた。
「・・・何か落ち着く、これ。」僕は言った。
それに彼女は吹き出した。「まるで犬みたいだね。」彼女は微笑みながら、そう言った。

