そこにはいつも君がいた



幸い、彼女は僕に気づいていないようだった。彼女が僕の視界からいなくなったら、心拍数が落ち着くのを待った。母の後ろ姿を見ると、僕の胸が少し痛んだ。

危ないところだった。まさか、こんなところで母と出くわすとは思っていなかった。また、新しいバイトを探さなければいけない。少し寂しかった。ここでのバイトは結構気に入っていたから。

僕は、明日、店長にバイトを週内に辞めることを告げることを決め、ゆっくりと学校への帰り道を進んだ。



物置きに入ると、そこには彼女がいた。

「白斗、遅い!」

僕は瞬きをした。「・・・愛子?ここでなにしてるの?」

彼女はむすっとした顔で答えた。「今日は二時に上がるって言ってたから待ってたんだけど、白斗全然来ないし、屋上にいても暇だったから入ってたの。」どうやら待っている間に僕が家から持ってきていた『アニマルジグソーパズル』をしていたみたいだ。コアラの顔の半分が出来上がっている。

僕は左手首に付けている腕時計を見た。もう三時を回っていた。「ごめんごめん、ちょっと色々あってね」母のことを言おうか迷ったが、とりあえず今は言わないことにした。愛子には、必要以上に心配して欲しくない。

彼女の表情が和らげた。「ま、いいけど。話そうよ」彼女は座っていた僕の寝袋を軽く叩き、僕はそこに座った。