「あ、もうそろそろ鳴る頃だね。」彼は腕時計を見ながら言った。私もそれを覗き込んだ。あと二分で一時間目が終わる。
「ほんとだ、やばい。」私は言った。「ここって教室から遠いんだよね。」
私は立って、教室に戻る準備をした。
「あ、戻るんだ。」彼は少し驚いたように言った。
「当たり前じゃん。私そんなにタチ悪くないよ。」
彼は笑った。「そうだね。今日は楽しかったよ、ありがと。」
「うん。私も。」
「また会えるといいね。」そう言って彼は微笑んだ。
「会えるんじゃない?同じ学校なんだし。」
「うん、そっか。そうだよね。」と言って、笑った。
なんで彼はずっと笑ってられるのだろうか。そんなに楽しい人生なら、私も少し味わってみたいものだ。
鐘が学校中に響き渡る間、私はダッシュで階段を降り、廊下を走った。
私の不機嫌は、気づいたらどこかに吹っ飛んでいた。

