そこにはいつも君がいた



「愛子、赤点あった?」


テスト返却が終わって、あかねと私は一緒に学校から帰っていた。


「無かったよ!しかも、全部平均越え!」

あかねと白斗のおかげで、補習になった科目は一つもなかった。


「初めてだよ、こんなにいい結果!やればできるもんだね。」

あかねは微笑みを見せて、「愛子のお母さん喜ぶね。」と言った。



途中で私たちはコンビニに寄った。

「はぁ〜やっぱり夏のアイスは最高!」

私たちはアイスを片手に持ちながら自動ドアを通ってコンビニを出た。


「・・・あ。」あかねはアイスを舐めながら何かに目をつけた。


それは、毎年この街で開催されている花火大会のポスターだった。私は毎年あかねと行っている。

「あ〜花火か〜。今年もやるね。」

「・・・私、誘われたんだよね。」

私は目を大きくしてあかねを見た。「え!?誰に?」

あかねは表情を変えないで言った。「二年の先輩。」

「・・・で?行くの?」

「うん・・・。」あかねは言った。

今年もあかねと行くつもりだったから、少し驚いた。しかも、あかねが誘いを断らないなんて初めてかもしれない。

今までも、クールで美形のあかねは何人かの男子にデートに誘われたことはあったけど、彼女はすべて断っていた。今回の男子は今までとどう違うのか聞きたかったけど、私は口を閉じて我慢した。

「そっか、じゃあ今年は一緒に行けないね。」私は言った。

「うん、ごめんね。代わりに好きな子とでも行ったら?」

またも私は目を大きくしてあかねを見た。

「え?違った?」あかねは言った。

「・・・なんで知ってるの?」私は恐る恐る聞いた。

「愛子最近なんか変だし、何となく好きな人できたのかな・・・って。」


さすがだ。あかねに隠し事をしているのはばれてると思っていたけれど、そこまで見破っていたなんて・・・。


「・・・すごいね、やっぱり。」

「別に。」彼女はアイスをあっという間に食べ終え、ゴミを捨てた。「一応言うけど、無理して言わなくていいからね。」


私は顔を上げて、あかねを見た。


あかねは私の目を真っ直ぐ見て言った。
「愛子に言わなきゃいけない義務はないし、私たちがどれだけ仲が良くても私には私の秘密があって、愛子には愛子の秘密があるから。」


あかねは素直じゃないし、毒舌だけど、いつも私のことを一番に考えてくれている。それは小さい頃から一ミリたりとも変わっていない。

私はあかねに抱きついた。「ありがと!あかね愛してる!」

あかねはボソッと「暑い。」と言ったが、抱きしめ返してくれた。