そこにはいつも君がいた



私は人気のない階段を上がって、屋上への重い扉を開けた。

「白斗!終わったよ!」私は大きな声で言った。


彼は、仰向けに床で寝転がっていた。私に気づくと、彼はむくっと起き上がった。

「お疲れさま。どうだった?」

「おかげさまで、ばっちり!」私はピースサインを彼に向けた。

彼は目を細めて微笑み、「そっか、良かった。」と言った。




「早いな〜。もう夏休みか〜。」

「そうだね。白斗は夏休み中も、ここにいるよね?」私は聞いた。

「もちろん、他にいく当てもないし。」

私は上半身を彼に向けた。「休み中、いっぱい来るからね、ここに!」

「そんな、気使わなくて良いよ。」

「違うの、私が会いたいだけだから・・・。」頬が少し熱くなった。

彼は私を見た。恥ずかしくて、ますます顔の赤みが増す。


「・・・でもごめん、夏休みはバイト詰めだから。」


私は怖い顔をしたのだろうか。彼はびくっとして、肩を竦めた。


「でも、休み中に稼いで貯金しておかないと・・・。」

そうだ。彼は今、不安定すぎる状況にいるんだった。

私はため息をついて、「わかった・・・。」とつぶやいた。

「でもバイト詰めって言っても、半分位は空いてるはずだから、いつもよりは会えるよ、多分。」

私は不満そうにむすっとした。「多分?」

「うん、多分。」彼はそういって、嬉しそうに笑った。

一体、何がそんなに嬉しいのだろう。彼のご機嫌な笑いは何だかおかしくて、私も笑顔になりざるを得なかった。