彼の秘密は、予想以上に大きくて、押しつぶされるほど重かった。
なのに、彼が私に向けるのはいつも、あの明るい笑顔。
彼の精神力はすごい。私なら、多分ずっと一人で、壊れるまで泣くだろう。
教室には、誰もいなかった。あかねも恐らく、先に帰ったのだろう。
私は自分の鞄を手に取り、教室を出た。
彼は両親から愛情をもらう事ができない。どれだけ頑張っても、決して、彼の方を向いてくれない。
ついこの前までお母さんと衝突していた私が情けなく感じた。
どんなに私がお母さんを傷つけても、お母さんは私の事をずっと愛してくれる。
私は、幸せ者だ。
これに気づくのに、なんでこんなに時間がかかったのだろう。
家に着いたら、私は玄関の鍵を開けて中に入った。
お母さんは仕事で家にいなかった。
リビングのテーブルには、紙が置いてあった。
『愛子へ
お帰りなさい。ケーキ買ったから、手を洗ったら食べていいよ。7:00には帰ります。なんかあったら、電話してね。
お母さんより』
私は手を洗って、冷蔵庫からお母さんが買って来てくれたケーキを出して食べ始めた。
ケーキはとっても、とっても甘かった。

