そこにはいつも君がいた



「最近すごいテンション高いよね、愛子。」


私たちは移動教室のために科学室へ歩いていた。

「授業もあんまりさぼらなくなったし」あかねは言った。

そう。お母さんが悲しむから、あの後からできるだけ授業には出るようにしている。だけど、完全に止めるのはやっぱり無理だ。

「なんか、いいことでもあった?」彼女は私に尋ねた。

私は先日の白斗との会話を思い出した。それだけでも未だに顔がちょっと熱くなる。

「うん・・・まあね。」相変わらず、白斗のことは秘密だ。本当はすぐにでもあかねに言いたいけど、私は我慢して彼のことは黙っていた。

「・・・そう、よかったね。」多分あかねは、私が隠し事をしていることを感づいてると思う。だけど、彼女はそれ以上何も言わなかった。



科学室前では、クラスの女子たちが群がっていた。

その中央で、夏実が自慢げに話していた。

「そして、よ〜く聞いてみると、それは蛇口をひねる音で、水の流れる音が聞こえてきたの!!」

私はため息をついた。みんなで夜の学校に行った日以来、夏実はその話をまるで自分の自慢話のように言い散らしていた。一番ビビってたのは夏実だったくせに。

「夏実、やめなよ。聞き飽きたって。」

「いいじゃん、愛子。だって幽霊は本当にいたんだよ!?この話広めないでどーすんの?」

私は、あれは幽霊なんかじゃないとほぼ確信していたけど、それを言ったら白斗との約束を破ることになるから、何も言い返すことはできなかった。

私はため息をついて、無理やり夏実たちの横を通って科学室に入った。