台所からの音で、私は目を覚ました。時計を見ると、まだ六時四十五分だった。
私は起き上がり、ゆっくりと着替えながら昨夜見た夢のことを思い返す。
あれは、まだ幼稚園に通っていた頃、あかねから名前には意味があることを教えてもらって、お母さんにそのことを訪ねた時の幼い記憶だった。今まで忘れていたけど、あの夢で思い出した。
あの頃は分からなかったけど、今ならちゃんと理解できる。
制服のスカートのフックを止めて、私は部屋を出た。
台所では、お母さんが私のお弁当を作っていた。
いつもと同じ朝、同じ光景。だけど、今朝は確かに、何かが違った。
「おはよ、お母さん。」私は言った。
いつもは聞かない言葉に驚くように、お母さんは頭を上げた。
「・・・愛子、おはよう。」お母さんは嬉しそうに微笑んだ。
「・・・あのさ、お母さん。」
「ん?」
「・・・この前はごめんね。その、ひどいこと言って・・・。」
お母さんはただ呆然と、私を見た。私はお母さんの反応を身構えて待った。
「・・・ううん、私もごめんね。あんなに怒鳴る必要なかったよね。」
私はお母さんの顔を見た。彼女は微笑んでいた。
「・・・ほら、それよりもご飯!遅れるよ!」気づいたらいつものお母さんに戻ってた。私は急いでご飯を食べて、歯を磨いた。
「行ってきます!」私は振り返りながら玄関を出た。
お母さんが台所から顔を出し、「いってらっしゃい〜。」と言った。
お母さんのあんな嬉しそうな顔を見るのは、何ヶ月ぶりだっただろう。

