そこにはいつも君がいた



どこに行くか迷ったけど、結局さぼりの定番の屋上に行くことにした。私の通う学校の校舎で、奥の校舎の屋上だけ、どの教室からも見えないらしい。そこに行くのが一番安全な気がした。


誰かに見つからないかハラハラしながらたどり着いた屋上への階段を上っていくにつれ、微かな鼻歌が聞こえてきた。それは階段を上がるほどはっきりと聞こえてくる。

私はやっとの思いで最上階まで登りきった。鼻歌は結構はっきり聞こえてくる。聞いていると落ち着く、綺麗な音色だ。私は『立ち入り禁止』の看板を無視して、屋上への扉を開けた。






やや風が吹いてる屋上の中央で座り込んで、奏でる透き通った鼻歌。


風でゆらゆらと揺れる彼の長めのふわっとした髪。



彼は私の気配にに気づき、あの綺麗な瞳で私を見た。



そして、私に向けるには明るすぎるぐらいの笑顔を見せた。







これが、私と彼の出会いだ。