みんなの顔は急に色が抜け、真っ青になった。
ジャー。
夏実が悲鳴をあげ、階段の方へ走って行った。それについていくように、他の子達も駆け足で彼女を後を追った。
ただ、私だけが科学室の前に取り残された。私は恐怖のあまり、しゃがみ込んでしまった。もう足が動かない。
みんなの足音で私たちの存在に気付いたように、みんながいなくなった直後に蛇口をひねる音がして、水の音は止まった。
そして、科学室の中から微かな足音が聞こえた。
それは、だんだんとはっきり聞こえてきて、私に近づいてくる。
わたしはもう殺される覚悟をして目を力強くつむり、震えながら待った。
足音はドア越しにはっきりと聞こえてきて、止まった。
そして、ガラガラ、とゆっくり扉が開く音がした。
「愛子?」

