そこにはいつも君がいた



「てかさ、幽霊って本当にいると思う?」恵子が小声で聞いた。


私たちは廊下を歩いて、話しながら科学室へと向かっていた。


「何言ってんの!いるわけないじゃん!」夏実が笑った。

「え!みんな幽霊に会いたくて来たんじゃないの!?」わたしはびっくりした。じゃあなんのために私たちはわざわざここへきたの?


「夜の学校に来てみたかっただけだよ。」夏実が言った。「なに、愛子、幽霊本当にいると思ってたの!?ばかじゃないの!?」少し荒い性格だっていうのは知っていたけど、真顔で言ったものだから、何かと傷ついた。


「じゃあ、なんで科学室に行ってんの?」


美優が答えた。「まあ、一応ね。あの噂がなかったら私たち今ここに来てなかったわけだし。」

みんながこんなにリラックスしてる理由が分かった気がした。自分だけ幽霊のこと信じてて、ばかみたいだ。




私たちは科学室に着いた。

さっきは幽霊なんかいないとか言ってたくせに、みんなドアを開ける係を全力で避けていた。

「夏実やりなよ。」

「いや、恵子も遠慮しないで。」


しかし、その時、急に中から物音がした。


ガタ、ガタ。




キュッ。ジャー。



水道の水の流れる音だ。