そこにはいつも君がいた



「・・・白斗?」

彼は黙ったまま、私を抱きしめた。彼の腕は力強かったけど、わたしの背中を触る彼の指先は羽のように優しかった。

「・・うん。ごめんね、愛子。」彼は私を抱きしめたまま言った。「気付いてたんだね、僕の秘密。でも、やっぱり言えないや。」

私はダメか、とため息をついた。

「わがままなのは分かってるけど、もう少し待ってくれない?いつになるかわからないけど、必ずいつか愛子に言うから。お願い。」

私の言葉は通じた。それが何より嬉しかった。

私は微笑んで言った。「うん。無理して言わなくていいよ。ただ、いつでも頼れる人がいるんだってことを忘れないでね。」

彼は私から身を引いて、私の額と自分のをくっつけた。彼は目を閉じていた。だから、私もそうした。

「愛子、ありがとう。」彼はそっと言った。

「愛子の気持ち、嬉しい。本当に、嬉しいよ。」


そう言って、彼は額を遠ざけた。私は、目をゆっくり開けた。彼は目を細めて微笑んでいた。


彼の頬には、細い光の筋が微かに輝いていた。