別に、言うつもりは欠片もなかった。
ただ、気付いたら、私のこの溢れる感情は口から出て、言葉として現れていた。
彼は私を見た。その姿は、まるで荒れ果てた子犬のようで、涙が出そうになった。いつもの彼の明るさは、どこか遠い所へ行ってしまった。
私は自分の言葉を繰り返す。
「白斗が好き。」
今度は、ぽろっと出たさっきの言葉と違って、はっきりと。彼に届くように。
「だから、私にもっと頼って欲しい。白斗は迷惑だから、心配かけたくないから、とか言って隠そうとしてると思うけど、私は白斗を助けたい。」
彼は黙って、私の言葉を聞く。
「助けるって言っても何もできないかもしれないけど、側にいることぐらいは私だってできると思う。」
私は彼が何も言わないから不安になり、彼を見て言った。
「だから____」
私が言葉を言いかけた時、彼がふわっと私を包むように私を抱きしめた。

