私は今でも明確に、あの屋上での日々を思い出す。
爽やかな風に乗って流れる、彼の透き通った鼻歌。
雲を見上げる時の彼の柔らかい眼差し。
何時間見つめても見飽きない、彼の無邪気な寝顔。
ふわっとした、彼の伸びた髪の手触り。
私の名前を呼ぶ、はっきりとした優しい声。
大声を出して泣く私を彼が抱きしめてくれた夜の、欠けた月。
時々見かけた、頬を伝う一筋の涙。
お互いの目を永遠と見つめあった、あの花火大会の夜。
彼が家に泊まっていった日の翌朝、私の手を握っていた彼の手の温もり。
二人で、玄関前で笑顔で泣いたあの日。
屋上で彼が囁いた、『愛してる』。
そして、目を閉じただけで簡単に浮かび上がるほど綺麗に記憶に焼きついた、彼の眩しい笑顔。
私はこれらを、何度も思い返す。そしてこれから、何十年経ったって、私は新しい思い出と共に、繰り返し思い出し、決して忘れることはないだろう。

