彼は花束を差し出しながら、私に微笑んだ。
初めて出会ったあの日からの十五年間は、信じられないほど早く過ぎた。それは、多分白斗との時間が楽しくて仕方なかったからだろう。一緒に過ごした一秒一秒が有り余るほどの幸せに満ち溢れていた。
『側に居てくれてありがとう』
それは、こっちのセリフだ。白斗は、こんなにわがままで、泣き虫で、可愛げのない私なんかの隣にずっと居てくれて、離れようとしなかった。ずっと、私を愛し続けてくれた。
彼が居てくれたことで、何度、私は勇気をもらったことだろう。何度、私はあの笑顔で救われたことだろうか。
今までに伝えきれていなかった、たくさんの『ありがとう』がかさばり、私の喉に詰まった。私も彼に何かを伝えたいのに、声が出ない。
だから、私はつま先に立ち、唇を軽く彼のに押し付けた。
自分からキスをすることなんて、滅多になかったから、恥ずかしくて私はすぐに離れようとした。しかし、白斗は離れようとする私をグイッと腰で引き寄せて、さっきよりも熱い、深いキスをくれた。唇から感じる温もりが全身に広がり、彼の唇の柔らかい感触が私の心拍を加速させた。
何年経っても、未だにキス一つでこんなにも私の胸を弾ませることをできるのは、彼が『宮崎白斗』という、世の中に二人いない人物だからなのだろう。

