そこにはいつも君がいた



「・・・待って、待って。」私はストップ、と言うように手のひらを前に出した。「白斗、仕事は?」

時間は三時半頃だ。白斗は今、仕事をしているはず。

「この何日間か、この日のために残業してたんだ。今日、結婚記念日を祝えるように。」白斗は笑顔で言った。

だから最近、帰りが遅かったのか。そこまでしてこの日を開けようとしていたなんて、思ってもいなかった。


私は笑を見た。「この事、知ってたの?」

笑は笑った。「三日ぐらい前に教えてもらった。母さんには秘密にしろ、って。」


私は深いため息をついた。「も〜、びっくりさせないでよ・・・。紅葉が誘拐されたと思ったんだから!」

白斗は目を大きくして、笑った。「愛子は昔から変な思い込みが多いな〜。」おそらく、十五年前に私が彼は幽霊か聞いた時の事だろう。彼は未だにそれを話題に出しては私をからかう。


「ケーキ食べよーぜ、ケーキ!」笑が上下にぴょんぴょん跳ねて、食卓の方を指差した。見てみると、そこには立派なホールケーキが置いてあった。

「じゃあ紅葉と一緒に取り皿持ってきて。」白斗は笑に言った。

「行くぞ、みー!」笑は紅葉の手をとって、二人でケーキ!ケーキ!、と言いながら台所に向かった。リビングには私と白斗だけが残された。