「あかね!」
あかねは読んでいた小説から顔を上げた。
「お、愛子。」
「ごめん、待った?」私は彼女の向かいの席に座りながら聞いた。
あかねは首を横に振った。「いや、私もさっき来たところ。」
私たちは最近の出来事などを話をした。
「でさ、この前光輝が家に女の子を連れてきてね。」
『光輝』とは、あかねの中学一年生の息子の名前だ。
「うそ!彼女?」
「うん。しかも結構可愛かった。」
「そっか〜。光輝くんももうそんな年頃か〜。」ついこの前まで私が抱っこをしていたような気がするのに、子供の成長とは速いものだ。笑や紅葉も、きっとあっという間に大きくなって、二人だって付き合っている人を家に連れてきたりするのだろう。
話しの成り行きで、私は最近白斗の帰りが遅いこと、今日の朝、彼が私の手を握っていたことをあかねに話した。
「最近、仕事の後も結構疲れてるようだし・・・大丈夫かな。」
あかねは音を鳴らしながら飲んでいたアイスコーヒーを終わらせた。「大丈夫っしょ。そんな深く考える必要は無いと思うよ。」
「・・・そうだといいんだけど・・・・。」
「働いてるとそういうことだってあるよ。」
「・・・そうだよね、心配のし過ぎだよね、ただの。」
「そうだよ。気にしないで良いよ。」
あかねの言うことに説得力を感じつつも、私の胸の中のモヤモヤは一向に減ることは無かった。

