私は時々、あの屋上に戻るときがある。それはもちろん、授業中ではなくて、早く来た朝や昼休みにだ。
別に意図的に行っているわけではない。昼休みにあかねの先輩彼氏が教室に来たりした時に、いちゃついてる二人と一緒にいても気まずいから(それは私が、だ。二人はそもそもそれを自覚していないから、気まずいもなにも無い。)、私は教室を出て校舎をふらふらとする。そして、無意識にいつも足が私を連れてゆくのが、毎回決まって白斗がいた、あの屋上だ。
これは毎日通い続けたからの癖なのか。それとも、私の心は白斗が学校にいたあの頃を欲しているのだろうか。
答えは分からない。でも私は屋上で、白斗との数々の思い出たちを一つずつ、じっくり頭の中で浮かびあげる。初めて来た時から変わらずままの『立ち入り禁止』の文字を眺めたり、あの夜の欠けた月を思い出す。楽しい思い出も、切ない思い出も、今となっては全てかけがえのない宝物だ。
そして、時には屋上の床で仰向けになり、空を見つめ、昼寝をして、毎日何時間も屋上にいた彼が常に見ていた世界を私は、遠い目で見つめる。

