私はと言うと、白斗に出会う前の平和な高校生活に戻った。でも、その時とは明らかに違う点が幾つかある。
まず、お母さんとの喧嘩はもうほぼ無いと言ってもいい。白斗は、私に家族の存在の有難さを教えてくれた。決して、いつも側にいてくれることを当たり前だと思ってはいけない。お母さんは、辛い時も、私に傷つけられたときも、いつも温かい目で私のことを見てくれた。お母さんは私に、膨大な量の愛を与えてくれた。そして、もらったその愛は、愛でしか返せない。これを教えてくれた白斗への恩は、一生かかっても返せないだろう。
もう一つは、両思いの人ができた、ということだ。人生で初めて一緒に学園祭を(あかね以外で)回る人、クリスマスを過ごす人、初詣に行く人、バレンタインデーにチョコレートを渡したいと思う人ができた。自分の気持ちに応えてくれる人がいることへの幸せを改めて感じた。ただ、『彼氏』とは少し違う。実は、白斗が家に帰っても、私たちの不思議な関係は続いたままだ。
正直、なんでまだ言ってくれないのか、と不安になる時がある。でも、確かに彼は、あの屋上で『待っていて』、と言った。だから、私は彼を信じて待つことを心に決めた。
他に変わったことと言えば、白斗が髪を切ったことだ。それまでは肩につくぐらいの長さだったのが、健全なショートに変身した。最初は、別人かと思うくらいに印象が変わって戸惑った。しかし、こうして彼を見ると、彼の顔立ちが異様に良いことに気づかされる。前から思っていたことだけど、伸びていた髪を切るとそれがさらに引き立った。彼が髪を切ったばかりの頃は、しばらく心臓が落ち着かなかったぐらいだ。

