「じゃあ、俺そろそろ行くね。」
彼は立ち上がった。
「愛子も、多分もう先生たち捜してないから、帰って大丈夫だと思うよ。」
彼は下ろしていたフードをかぶり、私に背を向けた。「バイバイ。」
「・・・ぁ・・・!」
私はまだ白斗と別れる準備はできていなかった。久しぶりにまともな会話ができたのに。まだ離れられない。
「待って・・・!」
私は手を延ばし、彼を包むパーカーに腕を回し、後ろから彼に抱きついた。
彼は進む足を止めた。
しばらく、お互い何も言わないまま、時間が過ぎた。
そして私はゆっくり、口を開けた。
「・・・帰って、来るよね・・・?」
私の声はとても小さかった。
彼は優しく答えた。
「もちろん。」
私は抱きしめる腕にもっと力を入れた。
「・・・頑張ってね。」
「ありがとう。頑張るよ。」
私は腕を緩め、白斗は前へ進み出した。
私は、その後ろ姿が消えるまで、彼を見送った。彼は、一度も振り返らなかった。

