そこにはいつも君がいた



彼は泣き止んだ私を、学校の裏の路地に連れて行った。微かに、私を呼ぶ先生たちの声が聞こえる。




「・・・ごめん。」私は鼻を啜りながら言った。

ある野良猫が私たちの前を通った。「何が?」白斗はその猫を目で追った。

「・・・追いかけちゃって。」

彼は少し笑った。「急に私服で愛子をじっと見つめている俺を見て驚くのも無理ないよ。でも良く分かったね、俺だって。フード結構深くかぶっていたから、見つかってもばれないと思ったんだけど・・・。」

「うん、分かんなかった。白斗の声を聞くまで分かんなかった。」

「・・・え?じゃあなんで俺のこと追いかけたの?」

「歩き方とか、雰囲気で白斗かも、って。確証なかったけど、とりあえず感覚を信じて追いかけた。」

「・・・そっか。でもそんなに必死に追いかける必要なかったのに。消えるわけじゃないんだし。」

「だって・・・。」また涙がじんわり出てきた。「最近、白斗様子おかしかったし、どこか遠くにおいていかれそうで・・・。」私はまた鼻を啜った。「・・・ごめんね、なんかすごい不安だったの。」

彼は申し訳なさそうに私を見た。「ごめん、俺が何も言わなかったから______」

「違うの!」

声が大きくなってしまった。彼は少しビクッと、跳ねた。

「違うの。」私はもう少し小さい声でまた言った。「私、いつも他人に自分の気持ち押し付けちゃう。お母さんにも白斗にだって、いっぱい迷惑かけた。白斗が何で悩んでいるかも、それを私に言おうが、白斗の勝手なのに・・・っ・・・・。」


せっかくさっき泣き止んだのに、またも涙が頬に零れ落ちて行く。


白斗は優しく言った。「そんなことないよ。俺、愛子のそういう、何でも真っ直ぐと向き合うところ、尊敬してるよ。それに、愛子にいずれは全部言うつもりだったから、愛子が謝ることなんて一つもないんだよ。むしろ心配させた俺が謝るべきだ。」

私は白斗を見上げた。

彼はいつもそうだ。私が一番聞きたい言葉を、いつも知っている。そしてそれを、彼は私が一番聞きたい言い方で、私に優しく降りかけてくれる。

彼は笑った。「だから、大丈夫だよ。」


彼の笑顔は、とても眩しかった。